イラストレーターamycco.のブログです。

映画「おとうと」。

京都会館の「おとうと」特別上映会に行ってきました。

第2ホールが8割がた埋まるぐらいのにぎわいだったにもかかわらず、お客さんはご年配の方がほとんど。
20代と見受けられる若者はぜんぜんいなかったなぁ。

Flowersでは周りのお客さんと笑いのツボが合わず一人変なところで爆笑していた私だけれど、
この映画ではみんなと笑うポイントが一緒で、なんだか会場と一体化しているようなあったかい気持ちになれました・・・。

そのうちDVDで見ようかなぁと思っていたんですが、京都会館のおかげで劇場で見ることができてよかった!

見ず知らずの、世代もまったく違う(それも多くが親より年上の)人たちと笑いや涙を共有するのって、ホントにいいものです。

映画の主役は、優等生のお姉さん(吉永小百合)と、どうしようもなくダメな弟(笑福亭鶴瓶)。

弟の鉄郎は子供の頃から万引きをした、煙草を吸ったといっては姉に迷惑をかけまくり、大人になっても夢を追い続けて定職には就かず、姪っ子の結婚式で酔って大暴れをしてめちゃくちゃにしてしまい、愛してくれた女の人のことも自分のルーズさのせいで傷つけてしまう・・・。
お茶目で憎めないけれど、どうしようもない弟。

真面目ですぐれた能力をもち、分別があり世の中にちゃんと貢献している、そんな人たちががんばってくれているからこそまわっているこの世の中。
その人たちが多くの人から感謝され、求められるのはもっともなことです。

でも、そんなまっとうな人たちだけで構成された、はみだし者の一人もいない世の中がもしあったとしたら、それはとっても窮屈な世の中だと思います。
きちんと手入れをされ、意外な驚きの一つもない庭園のように、整っているけれど面白みのない世界だと思うんです。
(私はどっちかというとダメな側の人間なので、まっとうな人たちに囲まれるといつもなんとなく申し訳なく、息苦しく感じてしまいます。涙)

ツッコミ役しかいないお笑いコンビが、心を入れ替えたばいきんまんがみんなと仲良く平和に暮らしている「それいけ!アンパンマン」が、藤木君がちっともひきょうでない「ちびまる子ちゃん」が、優等生でひとりでなんでもできるので「ドラえもん、君は未来に帰ってゆっくりしたまえ」というのび太くんが主人公の「ドラえもん」が、果たしておもしろいでしょうか。

まっとうな人々が、正しく健全であろうとするあまりにともすれば見落としてしまいがちなことを、はみだし者はときにユーモアたっぷりに教えてくれるのです。
笑いあり涙ありのとてもいい映画でした。

後半は涙が止まらなくて、何者かが隣からサッとハンカチを差し出してくれたほど。
山田洋次監督の映画って、学校で見せられる映画というイメージがあって(「学校」だけに・・・)あんまり積極的に見ようと思ったことはなかったけれど、おもしろいんだなぁー。

優ちゃんのおかげでこの映画に出会えてよかったです。(蒼井優が出ていたから見に行ったようなものなので。)

台詞とか、雰囲気とか、現代劇とは思えないぐらい昭和のオーラに溢れていたけれど、そんなところがとってもよかったです。
今時の女の子にああいう上品な話し方はなかなか似合わないけれど、優ちゃんが話すと「きちんと育てられた品のある女の子の役なんだなぁ」と自然に思えます。
現代的ではなくても美しい日本語というのは聞いていて本当に心地いいです。

そして吉永小百合さんはほんとうに、品があってきれいだなぁ・・・。
「将来ああいう大人の女の人になりたいな・・・」としみじみつぶやいていたら、即、「ムリ!」と言われましたが・・・。

あ、あと、脇役の商店街のオッチャンたちもかなりいい味出してました。

1つだけいただけなかったのは、小春の結婚相手である医者の青年と、その親族が単なる冷たい人間としてしか描かれていなかったところ。
子供向けの映画というわけではないのだから、仮にそのあとトラブルが待っているとしても小春が結婚相手として選んだ相手だと納得できるだけの魅力を持った人物として描いてほしかったなぁ・・・。
「そもそも何故結婚することにしたの?ほんとに小春が選んだの?」とずっともやもやしてしまいました。

「どこのうちにも変なのが、ひとりはいるもんだよ」みたいな台詞が劇中にあるんですが、
いないんですよね・・・、うちの家系には。おもしろい人はいっぱいいますけど、困ったさんはいない。

ハッ、その変なのってもしかして私なのかも。
そういえば、昨日もおとといも、妹に怪訝そうな目で見られました。笑
(そんな私を反面教師に、妹がしっかり者に育ったのがせめてもの救い。涙)

将来うちの妹が映画監督になってダメな姉を主人公にした「姉」という映画をつくらないことを祈ります・・・。

***
IMG_3145.jpg
映画のあとは、泣きすぎて失われた塩分と水分を、京都会館近くの58DINNERでがっつり補給。

おいしかったー!
店内がとってもゆったりしていて、なんだかハワイでのんびりしている気分になりました。

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